エクイティファイナンスの意味は?資金調達時のメリット・デメリットを解説!

2022.11.05

資金調達

エクイティファイナンスの意味は?資金調達時のメリット・デメリットを解説!

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昨今は日本にも起業の波が押し寄せています。特に外部資金を受けて短期間で事業を急成長させるビジネスはスタートアップと呼ばれます。スタートアップの資金源となるのが、エクイティファイナンスによる資金調達です。

今回はそのエクイティファイナンスについて解説していきます。

エクイティファイナンスの意味

エクイティファイナンスとはスタートアップが行う資金調達方法のひとつです。自社の株を第三者の投資家に購入してもらい自社の株主になってもらう代わりに、株式購入費用として設定した現金を受け取ります。

企業が新株を発行して、事業に必要な資金の調達を行うこと

エクイティファイナンスを活用するのはスタートアップです。本来、企業が新規事業に投資する際は、自社で確保できる金額として、売上から必要経費等を支払ったあとの余剰金を投資します。ただベンチャーファイナンスにおいては、いわゆる収益事業が確立できるまで待っていると、数年以上のタイムラグが生じ、その時には自社で取り掛かっているビジネス領域が古びたものとなりかねません。それでは意味がありません。

そこで、現時点でピークにあるビジネス領域に短期間で参入するために、外部資金を活用します。資金を受け取るには対価が必要ですが、スタートアップは収益事業の確立前であり、デットファイナンスによる借入をしても金利付きで返済できる確証はありません。そこで自社の株式を資金提供者に渡し、株価を上昇させて現金化することを誓約します。

とはいえ発行時は未公開会社のため、自由に株を売買する前提の調達は意味がありません。株を売買できる状況としての株式上場や、大企業に対して自社の株式を売却するという企業売却(M&Aといいます)を目指す代わりに、エクイティファイナンスの実行を進めます。株売買が可能となる状況をExit(イグジット・エグジット)といいます。当然ながら資金提供の投資家に対してExitの価格は資金提供額ではなく、何十倍何百倍にスケールして価格を期待します。投資家にとって、投資した企業が無事Exitを迎えたら投資金額の何百倍もの還付が期待できるメリットの一方、その企業がExitを逃せば投資金は紙切れになってしまうというハイリスクハイリターンの投資方法です。なお、一般的なスタートアップの場合、Exitを達成できるのは10社に1社ともいわれており、双方にとってハイリスクな種類の資金調達方法です。

資金調達は「負債」ではなく「自己資本」となる

エクイティファイナンスによる資金調達は貸借対照表(B/S)上、負債ではなく自己資本となる種類のものです。負債は他人資本として返済必要性のある資金であるのに対し、自己資本は純資産となります。純資産が多いという意味は、安定した会社経営を行う際に欠かせない財務基盤の証明になります。本来の企業は利益を多く生むことにより自己資本が多くなりますが、スタートアップの場合はエクイティファイナンスによる調達が多ければ、自己資本が多くなります。

エクイティファイナンスのもうひとつの特徴は、ファイナンスの実行タイミングによって株価が異なる点です。通常、創業直後でサービスも完成していない場合であれば株価は低くなり、企業が成長すればするほど株価が高くなります。投資家は株を購入するため、会社が成長していれば購入単価が高くなり、また購入できる株数も少なくなります。投資家にとって成長しきったスタートアップに投資することは、あまり意味がないともいえます。

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エクイティファイナンスの種類

エクイティファイナンスにはさまざまな種類があります。

公募(時価発行増資)

エクイティファイナンスの募集には、金融商品取引法が大きく関わっています。基本的にエクイティの募集は特定の投資家(投資社)に向けて実施されます。同法では1回の資金調達で49人までの募集は私募とされる一方、50人を超える募集は公募とされ、募集金額にもよりますが財務局への届け出など所定の手続きが必要です。スタートアップにおいて通常、募集の声が49人を超えることはあまり考えられませんが、最近はこの部分を意識しなければならない種類の調達方法が現れています。

ひとつは株式型クラウドファンディングです。インターネットで広く投資家を募集する同サービスですが、当然50人以上の投資家が閲覧するのを想定しています。株式型クラウドファンディングを活用してエクイティを募集する際は、財務局の登録を忘れないようにしましょう。

もうひとつはスタートアップと投資家を繋げるマッチングサービスです。この場合も連絡をする投資家が50人を超えた場合、原則としては財務局への登録が必要です。そのため多くのマッチングサービスでは1カ月に連絡できる上限数を定めており、この規則に対応しています。なお金融商品取引法で定められている必要な知識や経験を有している者として、金融庁のホームページで公開されている投資家がおり、彼らへの声がけはこの人数カウントに含まれません。この種類の投資家のことを、適格投資家といいます。これらのファイナンスの知識は、自己防衛のためにも企業経営者が勉強しなければならない知識です。

株主割当増資

エクイティファイナンスの方法のひとつに、既存株主に増資分を引き受けて貰う種類の方法があります。これが株主割当増資です。通常、新株が発行されると既に投資をした投資家の持株は「希薄化(ダイリューション)」します。これを避ける意味で、企業は出資の長期計画を組み立てます。

全部で100株発行している企業の発行株のうち、20株を有している投資家Aがいるとします。その持分は20/100で20%です。この企業があらたに40株を発行すると、Aの持分は20/140で14.2%に変わります。この40株をAが追加資金を準備して引き受けた場合、Aの持分は60/140で42.8%へと変わります。Aが株主割当増資に応じる理由はふたつあります。ひとつはこの持分のように企業への影響力を維持し続けることです。さらには自分が投資することによって、企業のキャッシュが枯渇することを防ぎ、企業の倒産を防ぐことです。スタートアップはエクイティファイナンスが想定通りに進まなければ、とたんに倒産を迎えるリスクのきわめて高い財務状況です。株主割当増資は企業の存命を担う命綱としての意味もあります。

第三者割当増資

株主割当増資ではなく、第三者に株を引き受けて貰う種類のエクイティが第三社割当増資です。通常スタートアップは株主に対して追加出資の意向を確認し、そのうえで第三者に対し増資募集を行います。ただ資本業務提携などで売上が期待できる場合や、今後のサービス提供領域の企業が増資する場合は、優先的に第三者割当増資を出すという意味もあります。

株主割当増資と第三者割当増資、どちらがリスクが高い・低いという種類の話ではなく、その出資契約の中身次第といえます。一般的には、後から入ってくる投資家の方が株価が上がっていてメリットが少ないため、優位な出資契約を結ぶ傾向があり、当該投資家にとってリスクヘッジの意味を持ちます。

転換社債型新株予約権付社債

資金調達の手段としてエクイティファイナンスと対する種類のものに借入があり、デットファイナンスといいます。このデットファイナンスの一部として、企業が自社を引き受け手とした社債を発行する方法があります。

通常の社債であれば、設定した期限が到来したあとに元本に利息を加えて返済します。特殊なのはエクイティファイナンスの一環として、期限が来ると将来的に株式に変わる社債があります。それが転換社債型新株予約権付社債です。株式の発行は株価を定める必要がありますが、業績の急上昇時など、現状株価をつけると価格が抑えられ、発行企業にとってデメリットとなるタイミングがあります。この対策として転換時に改めて株価を設定できる転換付き社債とすることで、企業側は必要以上に株式持分を付与することを防ぐ意味を持ちます。

エクイティファイナンスとデットファイナンスの違い

資金調達方法として代表的なエクイティファイナンスとデットファイナンスですが、どのような違いがあるのでしょうか。

デットファイナンスとは?

デットファイナンスは金融機関などからの借入などの総称です。借入後、決められた金利を加えた元本を返済します。借りたお金ではじめた新規事業が成功し、多額のお金が生まれた場合も所定の返済額は変わらない一方、仮に経営難に陥り返済金額が返せない場合も、借りたお金の返済義務が無くなることはありません。

デットファイナンスにおいても貸し手となる銀行や金融機関などに経営のアドバイスを貰う場合もありますが、エクイティファイナンスほどの綿密な関係ではなく、あくまで返済が円滑に進むための交渉範囲にとどまります。

貸借対照表での扱いに違いがある

エクイティファイナンスとデットファイナンスの大きな違いは、貸借対照表の扱いに違いがある点です。勘定科目のうえではデットファイナンスは負債に該当し、他人資本として返済義務のある資産として計上される種類のものです。一方のエクイティは純資産となり、自己資本に該当します。デットファイナンスのような返済義務はありません。

エクイティファイナンスで資金調達をするメリット

エクイティファイナンスで資金調達を実行する際のメリットについて考えます。

メリット①返済義務がない

エクイティファイナンスにはデットファイナンスに見られる返済義務がありません。その代わり、エクイティとして自社株を増資して各所に引き受けて貰うことは、相応の持分を株主に放出することを同時に意味しています。わかりやすく例えると、自分ひとりで自社の株を所有していれば100%自社に影響力があったのに、エクイティによって70%に影響力が縮小してしまうという種類のものです。

メリット②財産体質を強化できる

エクイティファイナンスは巨額のお金を企業にもたらすため、財務体質が強化できるメリットがあります。サービス・プロダクト開発や採用費用、広告宣伝費など、各種類の支出を推進し、一気にアクセルを踏むことが可能となります。エクイティファイナンス用の資金を提供する投資家にとっても、少しずつお金を使って長生きすることは意味がありません。次の資金調達機会までの決められた時間のあいだにエクイティのお金をすべて使う!くらいの大胆な施策を求める傾向にあります。財務強化のため、同時期にエクイティとデットファイナンスを同時に実行するケースもあります。

メリット③ネットワークが広がる

エクイティファイナンスの出資先とはビジネス本体で協業する種類の関係性を築くことも多いです。また出資先からの紹介で事業のキーパーソンや幹部候補の紹介、あらたな取引先など、ビジネス相手やネットワークが広がることも期待できるでしょう。同一の投資家から出資を受けるとスタートアップのなかで仲間意識が高まり、様々な局面で協力し合う関係も生まれます。特に営業支援は確固たる販促力を持たないスタートアップにおいて、何にも耐えがたいほど意味のある有難いものです。

メリット④信用度の向上

スタートアップにおいては提供しているサービスやプロダクトがどれだけ投資家を納得させ、多くのお金を集めているかといった底力のひとつとして認識されるほか、「これだけエクイティを集めているのなら大丈夫」と、採用力に関しても大きなプラス要因になります。またエクイティファイナンスの金額が多かったり、出資先が著名なところだったりすると、メディアもサービスに可能性があるのではないかと取材の申込が増えてきます。この力技的な意味を持つのもエクイティの特徴です。この影響で企業内で働く社員のモチベーションが上昇する効果もあります。まさにプラスの連鎖が期待できる種類の部分です。これはデットファイナンスによる資金調達には期待できません。

エクイティファイナンスで資金調達する際のデメリット

一方でエクイティファイナンスにはいくつかのデメリットが存在します。

デメリット①経営者の権利の希薄化

第一のデメリットが経営者の権利の希薄化です。それはエクイティファイナンスの引き受け手がいわゆる「モノ言う株主」だった場合です。エクイティを引き受けた株主は前提として経営陣の強い味方となりますが、同時に経営方針で社長や経営陣と大きく対立する種類のリスクを負います。事業展開にかける時間が何よりも大切なスタートアップにおいて、株主対応に時間が割かれるのは経営コスト以外の何物でもありません。

また出資を依頼する人を間違えると、想定通りに事業が進まなかったときに細かい説明を求める人もいます。また現金が足りないタイミングで出資金の返却を求め、大きなトラブルになってしまうケースも。そのような事態を防止するために、出資時における契約書作成は必ず弁護士を入れて締結するようにしましょう。デットファイナンスの契約書は金融機関が作成しますが、エクイティは当事者で作る傾向も大きな特徴です。

配当政策に影響する可能性

一般的な上場株には株主に対して配当を配る必要がありますが、スタートアップの経営陣にそのような期待はされておらず、あくまで起業を急成長させてExitを実現することが求められています。ただ何度かのエクイティの先に経営が安定すると、配当を求められるケースも発生します。これらは企業のキャッシュフローに大きく影響するため、長期的にはひとつの経営リスクとなります。

優遇税制の対象外になる

日本は中小企業の支援に重きを置いているため、エクイティファイナンスで自己資本が増えると様々な優遇税制の対象外となる場合があります。法人税の権限や欠損金の繰越控除や還付、交通費課税の特例などです。本来自己資本が増えるのは利益の増加とイコールのため、これらの特例から外れても問題ないと判断されての対象外措置なのですが、エクイティファイナンスによる自己資本の増加は経営の安定化ではないため、これらの対象外措置が会社に悪影響をもたらす場合もあります。

エクイティファイナンスで押さえておくべきポイント

エクイティファイナンスで押さえておくべきポイントをまとめます。

エクイティファイナンスは企業の成長や利益の拡大・改善が見込める

エクイティファイナンスを活用することによって、スタートアップは自社のみで進める時と比べ何倍もの速さで、事業を前に進めることが可能となります。エクイティという多額の軍資金を企業の成長に使うことのできた企業が利益を拡大させ、目標である株式上場を叶えることができます。

資本が増えることで中小企業から大企業となる場合がある

エクイティにより自己資本が増えることで、対外的な見え方として企業規模が拡大し、中小企業から大企業となる場合があります。税制優遇などのデメリットはもちろんありますが、大企業となることは社内を安心させ、同時に新たな取り組みへの挑戦を可能とすることを意味します。

新株発行には手続きや既存株主への説明などさまざまな手間がかかる

華やかに見えるエクイティファイナンスによる資金調達ですが、新株発行には煩雑な手続きを要します。また既存株主の説明などコミュニケーションコストも増大するので、しっかりと時間をかけて準備する必要があります。またエクイティの持つもう1つのリスクは、交渉が破断したらとたんに企業として追い込まれることです。既に売上の確保ができていれば問題ありませんが、エクイティを控えた投資家の翻意によって企業のクローズが余儀なくなった事例もあります。その意味では、エクイティファイナンスの持つハイリスクな側面に目を向けることも必要です。スタートアップのなかには、敢えてエクイティの戦略を取らず、デットファイナンスのみで成長する方針の経営者も一定数います。

よくあるエクイティファイナンスについての質問

エクイティファイナンスとは

エクイティファイナンスは急成長を狙うスタートアップが活用する資金調達の種類です。エクイティファイナンスを実行することによって企業の急成長が実現できる一方、経営陣以外の外部株主が参画することによって発生するリスクもあります。それらを可視化して、企業経営の推進力とすることが大切です。

エクイティファイナンスのメリット

返済が無い点や財務基盤の強化に繋がり、エクイティファイナンスを実行することで会社の体力が上昇します。また勢いに乗っている企業として注目されることに繋がり、ネットワークの強化やメディアの取材、それらと相乗効果を生んだ採用戦略への影響などが期待できます。

エクイティファイナンスで資金調達を成功させよう

日本にエクイティファイナンスの事例が増えて、一般化してから約10年です。これからも様々な企業がエクイティによる資金調達を成功させ、扉を開いていくことでしょう。

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