起業したら社会保険の加入は必須?必要書類や手続き・費用まで徹底リサーチ!

2022.09.29

起業・創業

#税金・社会保険

起業したら社会保険の加入は必須?必要書類や手続き・費用まで徹底リサーチ!

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社会保険は起業したての法人であっても、加入するのが必須である社会保障です。適用届をしなければ罰則やペナルティがあります。

そこで今回は、必要書類から加入手続き、実際に企業が負担する保険料の計算まで起業したての経営者にも分かりやすく解説します。

社会保険とは?

個人事業主は国民年金と国民健康保険に加入するのが必須ですが、法人を設立すると必須要件で社会保険に加入しなければなりません。それは、ひとりで起業しても従業員がいても同じです。

そこで、ここでは起業した法人が社会保険に加入する意味について解説します。

起業した際の加入は必須

法人を起業したときに社会保険に加入することは必須です。

社会保険には、医療保険や厚生年金のほか雇用保険と労働者災害補償保険(いわゆる労災保険)、満40歳に到達したときから加入が必須となる介護保険があります

これらを総称して「社会保障」と呼ばれます。

このうち、ひとり起業の場合は雇用保険と労災保険の加入事業所として登録する必要はなく、従業員を雇ったときに登録します。

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社会保険の種類・目的とは?

社会保険は健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険、介護保険から構成されている社会保障制度です。ひとり起業の設立間もない法人であっても、会社を守るために加入するよう決められています。

「会社を守る」というと大げさに聞こえますが、仕事中のけがや将来の年金など経営者と従業員を守ることが会社を守ることにつながります

ここでは、起業にあたって必須である社会保険の目的と社会保険の種類について解説します。

社会保険の目的

起業間もない法人にとって、社会的安定をはかるために「健康保険」「厚生年金」「雇用保険」「労災保険」「介護保険」に加入することで従業員の不安と、経営者のリスクは軽くできます

経営者にとっては「会社を守る=従業員の生活を守る」という役割があります。従業員が毎日安定した生活を送るために、給与のほかに社会保障も必要です。

このように、経営者と従業員の両方の視点からみて、安心と安全の一助となるのが社会保険です。

社会保険の種類5つ

加入が必須である社会保険には、5つ種類があります。 この5つは、健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険、介護保険です。

会社員として従事した経験があれば、給与明細を確認すればこれら5つ(介護保険は40歳以上のみ)の費用が控除されています。

では、この5つの保険の種類についてそれぞれ解説しましょう。

①健康保険

健康保険に加入し、健康保険証を持って病院へ行くことで費用の7割を健康保険組合が負担し、3割を本人が負担します。この制度は海外から見ても非常に質の高い社会保障です。

健康保険証がなければ、医療費が100%自己負担の費用となるため非常に高額になります。健康保険料は、法人と従業員の折半で標準報酬月額により費用を決定します。

この標準報酬月額は、4月から6月まで(3カ月間)の報酬の平均額です。 起業したばかりの新規設立法人は、必要書類である登記簿謄本と一緒に適用届を提出します

②厚生年金

将来の年金を受給するために納めるのが厚生年金です。

個人事業主や個人の場合は国民年金と国民年金基金の組合せですが、法人の場合は厚生年金とiDeCoといった組合せになります。

個人事業主は厚生年金に加入できず、たとえ従業員を雇っていたとしても原則国民年金です。健康保険の手続きと同様に登記簿謄本が必要書類として必須です。

国民年金加入者が厚生年金に加入すること、またその逆もありえません。

なぜなら基礎年金番号により管理されているため、重複しないようになっているためです。

③雇用保険

雇用保険は労働保険と称されるうちの1つであり、従業員を雇用すると強制適用となります。

雇用保険の適用対象となる従業員を雇った場合、ハローワークに必要書類である事業開設届と雇用保険被保険者資格取得届を提出しなければなりません

法人設立当初は経営者のみで事業する(いわゆる「ひとり起業」)場合には、設立時に届け出る必要はありません。

④労災保険

労災保険は雇用保険と同様に、労働保険と称されるうちの1つであり、従業員を雇用すると強制適用になり費用を負担します

労働者災害補償保険(通称:労災)というのが正式な呼び方で、通勤を含む業務上でのケガや災害によるものが対象です。

通常、経営者は加入できませんが「労働保険事務組合」に年会費と手数料を支払うことで加入できます。労働者やその遺族の生活を守ることを目的としているため、従業員はパートや正社員の区分に関係なく加入します。

経営者が加入する場合は、一般的な損害保険会社が扱っている障害補償と労働保険事務組合に支払う手数料と年会費の額を比較することが大切です。

⑤介護保険

40歳以上になると控除される社会保険で、健康保険と一緒に計算されます。

40歳から64歳までの人が実際に加入しようとすると要介護・要支援状態・末期がん・関節リウマチ等の加齢に起因する疾病(特定疾病)と限定されますが、経営者を含め働く人を守るための制度です。

加入方法は、必要書類である健康保険の適用事業者の届出をすれば完了します。

個人・法人で起業する場合の社会保険の必要書類と手続き

実際に必要な社会保険の手続きはどのようなものになるのでしょうか。
ここでは個人の場合と法人の場合にわけて必要書類も含め解説します。

健康・介護保険

健康保険と介護保険は、同時に手続きできます。個人の場合は国民健康保険の手続き、法人の場合は協会けんぽなど組合の健康保険に加入する手続きをします。

介護保険は法人でも個人でもどちらの場合でも40歳になると加入しなければならず、費用も発生します。

そこで個人と法人の加入手続きについて必要書類と一緒に詳しく解説します。

個人の場合

個人の場合、個人事業主で事業している場合でも国民健康保険に加入することが必須です。

国民健康保険は、必要書類の代わりにマイナンバーカードを住民票がある役所へ持参することで手続きできます。

マイナンバーカードは本人確認書類のため、無い場合は免許証など身分証明になるものを持参します。

法人の場合

法人設立から5日以内に会社所在地を所轄する年金事務所に必要書類である「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を提出します。提出方法は、郵送か窓口持参、もしくは電子申請により行います。

日本年金機構のHPからダウンロードできる「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を作成します。

作成した「健康保険・厚生年金保険新規適用届」と「会社の登記簿謄本の原本」は年金機構に提出します。

また、起業したばかりの法人はマイナンバーカードとカードリーダーがあれば、マイナポータルよりこれらの手続きを電子申請できます。

これで、適用事業者としての届出は完了です。

次に、役員でも加入が必須となっている健康保険と厚生年金の手続きがあります。そのため、適用事業者の届けとともに必要書類である「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を提出します。

もし、家族がいる場合には追加の必要書類として「被扶養者(異動)届」も提出します。

このとき、被扶養者のマイナンバーが必須になるため事前に確認しておくことをおすすめします。

厚生年金

厚生年金の手続きについて、法人は健康保険の手続きと同時にすすめます。個人の場合は、国民年金へ加入するのでその手続きをします。

個人の場合

個人事業主は国民年金に加入します。厚生年金は法人でなければ加入できません。そのため個人とは手続きが異なります。

国民年金の手続きは以下の通りになっています。

国民年金の手続き

・手続きの窓口は、住所地の市区役所または町村役場
・手続きに必要な持ちものは、基礎年金番号通知書または年金手帳等の基礎年金番号を証明できる書類
・本人が提出


このように、個人の手続きは既に持っている書類などを必要書類として持参することで完了します。

法人の場合

法人の場合、国民年金には加入せず厚生年金に加入するのが必須要件です。

厚生年金の適用届は健康保険と同時に行い、起業により適用事業者になるときには、一般的には別々に申請しません。

そのため、法人設立から5日以内に会社所在地を所轄する年金事務所に「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を提出し、添付書類に必要書類である登記簿謄本を添付します。

雇用・労災保険

ポイントとなるのは、加入手続きのために役所へ出向く順番です。従業員がいる場合は個人事業主や法人などの区分に関係なく届出を提出します。

そこで個人事業主でも、法人でも次の2つを順番でまわることをおすすめします。

雇用・労災保険
  1. 労働基準監督署
  2. ハローワーク

またこのほかにも、マイナンバーカードを所有している場合にはマイナポータルから申請できます。
ここでは、1と2の順に手続きする場合について解説します。

個人の場合

まず労働基準監督署に次の2種類の書類を提出します。

  1. 労働保険関係成立届
  2. 労働保険概算保険料申告書

また、会社の登記簿謄本と従業員の賃金台帳も添付します。

次にハローワークで次の2種類の書類を提出します。

  1. 雇用保険適用事業所設置届
  2. 雇用保険被保険者資格取得届(加入者全員分)

また、会社の登記簿謄本、労働基準監督署の受付印のある労働保険関係成立届の控え、雇入年月日記入のある労働者名簿、出勤簿またはタイムカードのコピー、賃金台帳のコピー(ただし1回目の給与支払がまだの場合は不要)も添付書類として提出します。

法人の場合

法人の場合も、個人の場合と同じ手続きになります。

参考までに、マイナンバーカードを利用してマイナポータルから申請をする場合「法人設立ワンストップサービス」から申請できます。

起業した際の社会保険の費用はどのくらい?

「起業すれば社会保険に加入しなければならない」ということが分かったところで、一体どのくらいの社会保険料がかかるのか「社長が1人で起業した場合」と「従業員を1名雇用した場合」で解説します。

企業の負担額の例

健康保険料の場合、日本年金機構が発表している「令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」を利用して負担費用を計算します。

ここには介護保険第2号被保険者に該当しない場合(39歳以下)と該当する場合(40歳以上)、厚生年金の額が記載されています。会社負担費用はこの表の折半額です。

このほか、企業側が実際に社会保険料を納めるときは子ども・子育て拠出金を負担する必要があり、被保険者の厚生年金保険の標準報酬月額および標準賞与額に、拠出金率である0.36%をかけた金額の合計額を納めます。

雇用保険は、令和4年10月から変更となり令和4年9月までは、一般の事業で事業主負担の費用が1,000分の6.5でしたが、改定後は1,000分の8.5になります。

では、実際にこれらの数字をあてはめて、具体的に計算してみましょう。

社長一人で起業した場合

この場合、従業員はいないので労働保険(雇用・労災)は該当しないので計算しません。また、45歳の社長で役員報酬を20万円、東京で起業したと仮定します。

この場合の会社負担費用の計算方法は以下の通りです。

会社負担費用の計算方法

200,000円×9.81%÷2=9,810円(健康保険料)
200,000円×1.64%÷2=1,640円(介護保険料) → 合計11,450円が健康保険料
200,000円×18.300%÷2=18,300円(厚生年金保険料)
200,000円×0.36%=720円(子ども・子育て拠出金)

これらすべての合計30,470円を会社は社会保険料として納付します。

1名雇用した場合

上記の社長のほか、40歳の従業員を1名雇用し給与は18万円と仮定します。

計算方法

180,000円×9.81%÷2=8,829円(健康保険料)
180,000円×1.64%÷2=1,476円(介護保険料) → 合計10,305円が健康保険料
180,000円×18.300%÷2=16,470円(厚生年金保険料)
180,000円×0.36%=648円(子ども・子育て拠出金)
180,000円×6.5÷1,000=1,170円(令和4年9月まで)
180,000円×8.5÷1,000=1,530円(令和4年10月から)

9月までの会社負担分は28,593円、10月からは28,953円となります。

実際は、社長分もありますから合わせると59,423円が会社負担の社会保険料です。

社会保険未加入は罰則も?

社会保険の加入は必須であり、未加入の場合には、次の罰則やペナルティがあります。

罰則やペナルティ

・6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金
・過去分にわたって保険料を遡及して徴収
・従業員負担分の保険料も企業が支払う可能性
・延滞金の発生
・ハローワークに求人を出せない

ここでは、この5つを罰則とペナルティの2つに分けて詳しく解説します。

起業してから何年まで遡及される?

結論から言えば起業してから2年まで遡及されます。遡及なので2年間遅れて納付した分の延滞金が発生します

この場合、原則通りに社会保険に加入していれば従業員と事業主や法人との折半になる金額が、折半できず全額企業側が支払わなければならないということも珍しくありません。

また、ハローワークで求人募集する場合、社会保険は加入適用事業者であれば加入していなければ違反になりますから、当然求人は出せません。

罰則も存在する

遡及やペナルティのほか、罰則も存在します。社会保険は法律によるところなので違反すれば罰せられるのは当然です。

健康保険法第208条により、悪質な場合は6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金の処罰を受けます。

起業した際の社会保険は適切に加入しよう!

社会保険は会社負担費用と本人負担額の合計額を納付します。起業した場合の社会保険の加入は必須要件です。ひとり社長の場合は雇用保険の費用負担はなく、従業員の有無により負担する保険料の種類も異なります。
安全に、安定的に経営するためにも起業したら社会保険に加入しましょう。

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