介護士としての経験を活かし、異業種へ転職を希望する動きが目立っています。未経験でスキルがない異業種でありながら、介護士の強みを活かした転職活動が可能なのでしょうか？

今回は、介護士から異業種へ転職を志すためのポイントと理由、転職活動に手活かせる強味や経験、おすすめできる職種を紹介します。

他にも、介護士から異業種へ転職する際のメリット・デメリットも併せて特集した内容です。

介護士から異業種に転職するには？

介護士という職業は、これからの社会を見据えても意義のある仕事とされています。高齢化が進む中で必要不可欠な立場になると予想されていることが理由です。

しかしその反面、異業種へと流出・転職する人も増加している傾向があります。介護士としての経験やスキルを活かせる他の業種への転職が可能とされているようです。

では、介護士の転職事情にはどのような特徴があるのでしょうか。

介護士から異業種に転職する理由

それまでの介護士の職を捨ててまで異業種へ転職したいと考える人が目立つのには、それなりに理由が考えられます。

多くの転職動機ともリンクする部分もありますが、この業種ならではの独特な理由もあるようです。では、介護士から異業種へと転職をしようとする主な理由を紹介します。

収入が少ない

介護士の仕事を辞めて異業種へと転職をする理由は、仕事量と公平な収入に満たない現実にあります。

いくら介護の仕事をがんばっても評価されず、次第にモチベーションが低下した結果、離職を決意し異業種に流出するからです。

公私ともに負担が大きいわりには収入が見込めないことから、充実した生活を送ることが難しくなっています。

人間関係に不満

介護士の仕事を辞めて異業種に転職をする理由には、職場の人間関係が思わしくないことも考えられます。

スタッフ間の連携が悪いことや、介護利用者によっては態度の悪い人も考えられ、介護の職種ならではのトラブルが頻繁に起こるからです。

職場での人間関係の悪化は精神的負荷となり、転職希望になり得る要因といえます。

休みが取得しにくい

介護士の仕事は激務とされ、なかなか希望どおりの休みが取得できないことも転職の理由の一つです。そのため、心身ともに疲労が蓄積しはじめ、私生活そのものへの悪影響が考えられます。

これは、介護業界が慢性的な人手不足になっていることが最大の要因です。

納得できるローテーションを組みたくても実際にはうまく運べず、どこかで誰かが不自由な思いをせざるを得ない現実を抱えています。

介護職からの転職する際に検討される主な選択肢

介護士からの転職として、考えられる選択肢はいくつかあります。

その際の基準となるポイントは、「介護職と関連性が高いものかどうか」そして、「介護職の経験が生かせるかどうか」の2つを主軸にすることです。

関連性と経験を比較しながら、自分はどこがふさわしいのかを考えてみるとよいでしょう。

例えば、介護職に関連が深く経験を生かしたいのなら、むしろ介護士の専門性をさらに伸ばせる他の企業への転職を検討するべきです。

しかし、関連性にはこだわってないけど経験が生かせればというのなら、介護職に類似した異業種への転職が望ましいでしょう。

もし、関連性がありつつ経験にこだわらないのなら、介護のノウハウを生かせそうな職種への転職に踏み切るべきかもしれません。

そして、関連性も経験も問わないというのなら、まったく介護職とは無縁な未経験の異業種へチャレンジするほうがよいでしょう。

ただし、これらはあくまでも指標であるため、どのような転職活動を展開するのかは、最終的には自分自身で決心することを忘れてはなりません。

	経験を生かす	経験を生かさない
関連がある	介護職を続けるほうがベター	介護経験が役立つ異業種
関連がない	介護職に類似した職に就く	未経験な異業種へ転職

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介護士から異業種に転職する際に使える強みや経験

どのような職種でも、それ相応の大変さや苦労はあるでしょう。

介護士にとってもそれは同様で、介護の職業が抱える問題とも向き合いながら仕事をすることで、社会人としての経験や強みとして長所となることが期待できます。

もし、介護士から異業種へ転職を希望するのなら、介護士として培った長所を強みとして生かせるポイントで決めていくことができます。

ここでは、介護士ならではの異業種への転職に使える強みについて解説します。

体力

介護士として仕事を経験すれば、体力が要求されることに気づくはずです。利用者の体を支えたり、施設内を異動するといった行動は日常茶飯事なことになります。

長くこの仕事を続けていれば、自然と体力がついてくるはずです。とくに夜勤の経験があれば、異業種や関連職種への転職をした際にも強みとなってくれるでしょう。

コミュニケーション能力

介護士にとってのコミュニケーション能力は、絶大なものだと言い切ってもよいでしょう。コミュニケーションができなければこの職種は成り立たないのが理由です。

毎日利用者と接する中で、本人だけではなく家族や、周辺スタッフとの連携なども仕事の一環として数えられます。

コミュニケーション能力の高さは異業種への転職についても有効的で、必ず最大限に生かせる強みになるはずです。

協調性

介護士には協調性も欠かせません。原則としては1人で対応する仕事です。しかし現場で一緒に働く他のスタッフとチームになって動くことも多くあり得ます。

人をお世話する職業である以上、スタッフ同士の関係性がうまく機能しないと、思わぬ事故に繋がる恐れもあるからです。

他者の協力を借りながらプロジェクトに取り組むことは、介護業界に限らず異業種でも行われています。介護士として経験した協調性は、異業種へ転職しても強みとして役立つのでおすすめです。

礼儀正しさ

介護士は自然と礼儀正しさが養われ、それが大きな強みとして転職後にも生かせます。利用するのは高齢者がほとんどなので、基本的には尊厳を保ってサポートをするのがルールです。

相手に不快な思いをさせてはなりません。そのため、常識的な範疇で礼儀正しく接する態度は必須で、それが経験と共に研ぎ澄まされ自分の強みになるはずです。

礼儀正しい態度と所作は、あらゆる業界において重要なことなので、強みやメリットとして生かせるでしょう。

介護士から異業種に転職するメリット・デメリット

介護士として今まで働いていた環境から、異業種へと転職をすることは勇気のいる行動です。介護士に限らず、転職をすること自体は人生の分岐点となります。

そのため必ずメリットとデメリットの両方が生じることでしょう。ここでは、介護士が異業種へと転職した際に想定できる、主なメリット・デメリットについて考えていきましょう。

メリット

介護士から異業種へ転職することで生じるメリットには、高収入を得られる可能性が考えられます。

中でもインセンティブ制度に則っている職種へ転職できれば、成果報酬としてやった分だけ給与として反映するでしょう。

他にも転職条件として土日祝などを中心に休暇が取れること、希望休・有給休暇を取得しやすくなることも考えられます。休日数が増えれば心身的にリフレッシュが期待できるでしょう。

その後の仕事へのモチベーションにも関係がしてきます。収入と生活リズムの面でメリットが生まれやすいのが特徴でおすすめです。

デメリット

異業種への転職のデメリットとして考えられるのは、介護士としてのスキルや資格を活かせない場合があります。

異業種への転職そのものが、実質的に1から仕事を覚える作業をし直すことになるでしょう。今までのスキルが職場によって使えるかどうかが未知数となってしまうことが理由です。

場合によっては、技術や経験があっても現場で生かせず評価されない可能性も考えられます。年齢が若いうちならば、熱意やポテンシャルから判断してもらえるでしょう。

しかし、ある程度の年齢を重ねてからの転職では、効率的に働けるまでには個人差が出てしまうものです。

もし、未経験の異業種への転職を志すのであれば、必ず事前に仕事内容・収入・企業概要などの情報収集を怠らないよう注意しましょう。

介護士から未経験でも挑戦しやすい業界

介護士が次の転職先として考えた際に、必ず頭の中に過るのが同じ介護業界内での転職です。実際にも、介護職としてステップアップを試みて転職するのは約3割くらいだとされています。

逆に7割近い人たちが未経験でも異業種へ転職したいと望んでいる傾向がうかがえるのです。

では、未経験でも異業種に転職をしたいと考える介護士がチャレンジしやすい職種・業界とは、どのような仕事なのでしょうか。

IT業

介護士が異業種へと転職するハードルとしては高いかもしれませんが、IT業関連の仕事はおすすめできます。理由は介護職と同じように将来性がある業界だからです。

IT系エンジニアも介護士と同じように、人手不足に悩まされている職種とされています。思い切って新しい環境と経験を積みたいのであれば、IT関連への転職を目指してもよいでしょう。

主な仕事内容は、システム設計・開発、プログラミング、ネットワークやWebサイトの設計開発などです。

未経験者が満足な仕事ができるまでには多少の時間と勉強が必要となりますが、自由度も高く長い目を見ても働きやすい環境になることでしょう。

製造業

介護士から未経験で製造業へと転職するのも方法の一つです。中でも、介護用品メーカーがおすすめできます。

理由は、介護現場での経験が生かせるチャンスがあり、介護用品の新しい製造・開発にも貢献できる可能性を秘めているからです。

製造業といっても生産管理、商品企画、研究開発、製造といった各部署に違いがあり、どこに配属されるかは転職後次第で分かりません。それでも過去に培った介護経験は役に立つでしょう。

現場での使いやすさを提案するなど積極的に考えながら仕事ができます。また、メーカー職は即戦力となる経験者を募集する傾向があるため、まったく業界未経験者よりは採用されやすいのも魅力です。

介護士経験を活かせるおすすめの職種

介護士から異業種への転職でも、まったく未経験な分野に飛び込むのは自信がないという人もいることでしょう。

そうであれば、今までの経験をそのまま反映できる分野への転職を考えてみてはいかがでしょうか。ここでは、介護士の経験を生かせそうなおすすめの職種を紹介します。

接客業

顧客へダイレクトにサポートができて、顧客満足度も実感できる代表格として接客業がおすすめです。

たとえ異業種で未経験だとしても、介護士として経験したコミュニケーション能力を発揮することができるのが理由です。それに大手企業へ転職すれば安定した職を得られます。

ただし接客業の場合、職種によってはシフト制になるので、休日出勤などが考えられます。

営業

介護士としての経験から、人々と接しながら仕事をこなすスキルが自然と身についているはずです。そのため、営業職への転職はおすすめできます。

異業種だとしても、おそらく精神的な強さで乗り切れる可能性を秘めていることでしょう。

できれば福祉用品販売・介護用品メーカーの営業職なら、さらない現場のスキルを強みにできるので、なおさらおすすめできます。しかも営業職は、どの企業でも花形の職種です。

年収アップが期待できるのも魅力の一つといえます。

保育士

介護士の職業ともよく似た労働形態をしているのが保育士・保育補助などの職業です。対象となる年齢層はまったく逆になりますが、誰かのお世話をするという意味では感覚が一緒だと思えるでしょう。

ただし、保育士として仕事をするには資格が必要です。資格取得を前提としますが、介護福祉士の資格をすでに所持していると、保育士資格を取得しやすいメリットがあります。

もし資格を取得しないままで保育関連の仕事に就きたいのなら、保育補助としての職種でも可能です。

看護助手

介護士の経験を役立てる意味では、看護師・看護助手もおすすめです。ただし看護師になる場合も、保育士のように資格・免許が必要となります。

そのための専門学校へ通いカリキュラムを履修した上で、国家試験に合格してからのことになるでしょう。まずは、看護助手として転職をすれば資格がなくても働けます。

看護助手として経験を積んでから、看護師へ本格的にチャレンジしてもよいでしょう。

事務

多くの介護士が転職先として選ぶのが事務系の仕事です。一般企業で事務業務は基本的にデスクワーク中心となるでしょう。そのため、介護士の頃よりも身体への負担が少ないことが理由です。

ただし求人倍率は他の職業と比較しても高いことがデメリットになります。非正規雇用での勤務でも可能な人はチャレンジしてもよいでしょう。

もし医療系一般事務職であれば、介護経験を活かせるチャンスも考えられます。

キャリアアドバイザー

最近では、キャリアアドバイザーの仕事も注目されています。転職サイトなどで転職希望者をサポートをする職業です。

中でも介護業界専門の転職サイトにて求人が見つかれば、かなり有利に転職の道が開かれるでしょう。介護業界の内情のリサーチや、求められる人材について的確にアドバイスができるはずです。

対象者は異なってきますが、転職者の役に立つサポートとしてやりがいを見出せるかもしれません。

介護士から異業種に転職する際は早い段階から考えよう！

介護業界は間口が広く、人手不足に悩まされているのが特徴です。今後も需要が叫ばれることは予測できます。

一方で、仕事内容が厳しくて特殊な分野でもあることから、異業種への転職を希望する人も後を絶たないでしょう。ところが、介護士だから優遇するという職種・業界自体は皆無です。

未経験な転職者にとっては現実的に厳しい側面も考えられます。そのため、転職活動はとにかく先手を打って行動することをおすすめします。

まずは転職したい理由を明確にし、その後のビジョンを思い描きながら異業種にてどのように生かすのかキャリアプランを練る必要があります。

介護士としての知識やスキル・強みを面接などでアピールする方法も身につけておきましょう。なるべく在職中から転職活動に入っておき、焦らずブランクを作らないように計画することをおすすめします。

まとめ

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