未経験からM&A業界への転職は可能!注意点や採用年齢を徹底解説
M&A業界は、経験が業務に活かされやすい業界のため、転職成功率は経験者のほうが高いとされています。
しかし、未経験者も年齢などの採用ポイントを押さえておけば、転職することも可能です。本記事では、未経験からのM&A業界への転職や適性年齢について解説します。
M&A業界とは
M&Aとは、企業の合併や買収の総称です。また、M&A業界の会社は、企業の合併や買収を実現させるために、交渉や仲介役などの支援業務を行います。
大手企業の経営戦略や、中小企業の後継者問題などの影響によるM&A需要の高まりを受けて、近年ではM&A業界へ転職を考える人が急増しています。
M&A業界の主な業務内容
M&A業界の業務内容は、公正な取引によるM&A成約を目指すためにあらゆる支援を行うことです。
企業同士の売買になり取引規模は大きくなる傾向が強いため、M&Aの経験や知識を持った第三者による支援が必要不可欠とされています。
M&A仲介とは
M&A仲介とは、M&Aの専門家がM&A当事者の仲介に入り、中立的な立場から支援を行って成約を目指すことをいいます。
片方の利益の最大化を目指すのではなく、双方の目的が達成できるように条件のすり合わせを行うことが業務内容です。
M&Aアドバイザリーとは
M&Aアドバイザリーとは、M&A業界に属し、M&A仲介などの支援業務に携わっている専門家のことをいいます。
M&A支援業務を行うために必須とされる国家資格はないため、M&A仲介会社などのM&A支援機関に属すことで、M&Aアドバイザリーになることができます。
M&A市場について
従来のM&Aは、大手企業による事業規模の拡大や企業再編を目的としたものが中心であり、日本のM&A市場の成長は限定的でした。
近年は、中小企業の事業承継を目的としたM&Aや個人によるM&A買収など、中小規模のM&Aが増加しており、国内のM&A成約件数は2012年以降から右肩上がりとなっています。
未経験からM&A業界へ転職するには
M&A需要の高まりを受けて、未経験者による転職希望者が増えています。この章では、未経験者のM&A業界への転職について解説します。
M&A業界で求められる人材
M&A業界では、現場で活躍できる即戦力を求める傾向が強いため、新卒採用はあまりありません。M&A業界未経験者よりも、経験者のほうが有利であるというのが実情です。
また、コミュニケーション能力や営業力などの個人スキルも重視される傾向にあります。M&A支援業務に携わるうえで活躍できる場面も増えるため、転職が成功する確率も高まります。
M&A業界の採用動向
M&A市場の成長に併せて、M&A業界に新規参入する企業も増加しています。M&A業界も競争が激化しているため、対応するために多くの人材を求めています。
採用動向としては金融機関出身者が採用される傾向が高く、そのほか営業などで実績を残している場合も積極的に採用されています。
未経験からM&A業界への転職難易度
M&A業界への転職は、経験者の方が有利であることに違いはありません。しかし、M&A業界も多くの人材を求めているため、未経験者でも活躍できる場面が増えており、採用される可能性は決して低くありません。
求人ニーズ
基本的に、M&A業界の経験や営業スキルなどのニーズが高いですが、熱意やバイタリティーなどのメンタル面を重視する企業も存在します。
企業の採用ページなどを頻繁にチェックして、未経験者でも満たせるニーズを把握しておくと、転職難易度も大きく変わってくるでしょう。
挑戦できる部門
M&Aアドバイザリーの業務内容は多岐に渡ります。直接仲介役を担うアドバイザー以外に、交渉に至るまでの下準備にさまざまな部門が携わることになります。
なかには、求められる専門性が低い部門もあるため、自ら志望することで未経験者でも採用される可能性が高くなります。
未経験からM&A業界への転職事例
未経験からM&A業界へ転職している人は沢山います。ここで紹介するのは、地場証券の法人営業担当から大手M&A仲介会社のM&Aコンサルタントへの転職事例です。
新卒入社から6年間、士業家や中小企業向けのコンサルティング業務に携り安定した年収を得ていましたが、ノルマ達成のために顧客にとって興味の薄い金融商品も売買提案することに抵抗感を覚えており、状況を変えるために他業界への転職を検討します。
転職会社に相談したところ、顧客の課題解決に直接携われるM&A業界を薦められます。商品を顧客に強引に押し付けることがない、成果に応じてインセンティブが返ってくる業界であることが最終的なポイントとなり、M&A業界への転職を決意します。
転職した結果、業務内容は激務となりましたが、やりがいのある仕事や成果に見合った年収に満足しており、未経験からのM&A業界への成功事例となっています。
未経験からM&A業界へ転職する際の適性年齢や採用ポイントは?
未経験からM&A業界へ転職では、いくつかのポイントを押さえておくと転職成功率を上げることができます。
【未経験からM&A業界へ転職する際の採用ポイント】
・適性年齢
・学歴・経歴
・語学
・金融や会計の知識
・MBAやM&Aに関連する民間資格
・営業力
・ポテンシャル
適性年齢
M&A業界の人材採用は、20代後半~30代前半の若い年齢が中心です。基本的にM&A支援業務は未経験で入社した場合、仕事を覚えて仕事が出来るようになるまでに、それなりの期間を必要とします。
そのため、しっかりとした教育をして仕事を覚えてから長く働いてもらうために、20代後半くらいの年齢層が最も多く採用されております。
また、激務になることも多く、体力に余裕がある若い年齢のほうが重宝される傾向にあります。
業界未経験で年齢30代後半以降になると、採用される可能性は低くなります。そのため、M&A業界への転職を検討している場合は、年齢が若いうちに行動するほうが有利に働くことが多いです。
学歴・経歴
M&A業界では、高学歴者が優先的に採用されることが多いです。偏差値が高い大学出身者や高度な学位や資格を保持していると、転職で有利になります。
一方で、募集要項に特定の大学以上が指定されることは滅多にないため、大卒であれば最低限の条件は満たしていると考えて差し支えないでしょう。
未経験者の転職では、経歴も重要なポイントです。前職の業種やポジションによって、M&A業界で活かせる経験が変わります。
語学
M&A業界では、クロスボーダー(海外M&A)で語学力が求められる場面も多いです。特に需要が高い英語や中国語が堪能であれば、未経験や高齢であっても採用される可能性は高くなります。
金融や会計の知識
金融や会計の知識も、M&A転職で大きな武器となります。その際は、金融・会計の専門知識を証明することができる資格を保有していると、自身の魅力を伝えやすくなります。
特に需要が高い国家資格は公認会計士です。M&A戦略策定や企業価値評価、財務デューデリジェンスなど、幅広い分野で活躍できるので重宝されています。
MBAやM&Aに関連する民間資格
M&A支援業務に資格は必須ではありませんが、業務に活用できる資格は数多く存在します。MBAやM&Aエキスパートなどを持っているだけでも、役割を与えられやすくなります。
営業力
直接顧客と接する部門を希望する場合は営業力が重視されます。基本的に、周囲の転職希望者も高い営業実績を武器にしていることが多いので、しっかりと前職での営業実績をアピールすることがポイントになります。
特に、銀行や金融証券などの金融機関出身者が重宝される傾向にあります。一定の営業力が保証されているため、未経験者でも採用される可能性は高くなります。
ポテンシャル
基本的にM&A業界は即戦力を求めていますが、伸びしろを期待して採用されることもあります。
ポテンシャルを数値や資料で明示することはできないので、熱意を伝えることが大切です。
自分ができることを把握しており、明確なビジョンを持っていれば、ポテンシャル枠として採用される可能性もゼロではありません。
未経験でもM&A業界にマッチする人材
M&A業界の求人では、個人の能力だけでなく、人柄も重視されることがあります。以下の条件にマッチしていれば、未経験者でも適役と判断されることがあります。
【未経験でもM&A業界にマッチする人材】
・向上心がある
・責任感がある
・個人の力を試したい人
・事業承継の課題を感じている人
向上心がある
高い目標を目指すために努力を惜しまない向上心があると、採用確率が高くなります。特にハードワークに耐えられるというポイントは評価に繋がりやすいでしょう。
ただし、向上心だけでは成果に繋がらないこともあります。成長したいという達成意欲と、成長するために行動を起こす活動意欲の両方をアピールすることで、人事担当に好印象を与えることができます。
責任感がある
ビジネスにおいて責任感は最も大切なことであり、それはM&A業界においても変わりません。責任感を持って仕事をやり切れる人材は少なからず評価に繋がります。
前職での業務への取り組み方や、それにより得た成果をアピールすることで、自分自身の責任感や使命感を伝えることができます。
個人の力を試したい人
M&A業界は、成果に応じてインセンティブが獲得できる業界です。基本給よりもインセンティブ部分が大きいため、個人の能力に見合った報酬を得ることができます。
最善を尽くすために努力し続けなければならないという責任は伴いますが、個人の力を試したいという人にとっては打ってつけの業界であるといえるでしょう。
事業承継の課題を感じている人
少子高齢化や人口の都市部集中などの影響で、中小企業の後継者不足による事業承継問題が深刻化しています。
M&A業界であれば、M&A支援という形で事業承継の課題解決に携わることができます。中小企業のM&A仲介に特化している企業もあるため、課題解決に向けた熱意が評価に繋がることもあります。
未経験者がM&A業界へ転職する際の注意点
未経験者によるM&A業界への転職では、いくつか注意すべきポイントがあります。年収が高いなどの評判だけで転職すると失敗することもあるので、事前に把握しておくことが大切です。
【未経験者がM&A業界へ転職する際の注意点】
・ハードワークであること
・インセンティブ制度
・業界経験が武器になる
ハードワークであること
M&A業界は、高年収とともにハードワークであることも知られています。M&Aの進行中は常に状況が変化するため、短期間で成果を出すためには残業も必須になるでしょう。
自分の時間を多く持ちたい人や高年齢などで体力に余裕がない人は、ハードワークに対応することが難しくなることもあるため、転職が成功する確率も低くなります。
インセンティブ制度
M&A業界ではインセンティブ制度が採用されています。成果に応じてインセンティブを獲得できる仕組みのため、保証されている年収は決して高くありません。
高年収を実現させるためには、成果を出すために努力する必要があります。前述のハードワークに関しても、ある程度覚悟しておく必要があるでしょう。
業界経験が武器になる
M&A業界では、業界経験者が優先して採用されます。同時期に経験者の転職が集中すると、未経験者は不採用になることも少なくありません。
そのため、最初から大手への転職を目指すのではなく、小規模の企業に転職して業界経験を積んでからステップアップしていくという方法も有効です。
M&A業界未経験者におすすめの転職方法
M&A業界未経験者の転職では、いくつかの方法があります。この章では、一般的な3つの方法を紹介します。
M&A業界特化の転職エージェントに依頼する
1つ目の転職方法は、M&A業界特化の転職エージェントに依頼することです。業界に精通した専門家のため、自信の能力を活かせる企業とのマッチングを期待できます。
【M&A業界特化のおすすめ転職エージェント】
1.ソーシング・ブラザーズ
2.エルキャリ
3.士業JOB
おすすめのエージェント:①ソーシング・ ブラザーズ
ソーシング・ ブラザーズは、M&A仲介を中心にヘッドハンティングを行うサーチファームです。
クライアント側が求める人材像を基にマッチングさせることで、多数の転職を成約に導いています。
設立から間もない新鋭企業ですが、M&Aプレイヤー時代からの各企業とのネットワークが強みとなっており、希少性の高い求人やポジションの紹介を行っています。
ソーシング・ブラザーズ株式会社 | M&A業界への転職コンサルディングNo.1
おすすめのエージェント:②エルキャリ
エルキャリは、士業や金融部門を中心とする転職エージェントです。M&A業界の転職支援も手掛けており、求人情報を多数公開しています。
また、M&A企画などの表に出にくいポジションの非公開案件も保有している特徴があります。M&A領域に関する幅広い案件の紹介を受けることができます。
おすすめのエージェント:③士業JOB
士業JOBは、士業の転職に特化した求人サイトです。公認会計士・税理士・弁護士などの士業の求人情報を随時発信しており、M&A業界の転職案件も多数掲載されています。
また、各士業の転職に向けたお役立ち情報が掲載されています。転職相談会・セミナーの開催情報なども更新されています。
転職サイトに登録する
2つ目の方法は転職サイトに登録することです。自分の情報を登録しておくことで、条件が近い求人情報と自動的にマッチングしてもらえます。
転職エージェントに依頼する方法と比較すると、転職サイトの登録は手軽さが魅力的です。複数のサイトに同時登録することも簡単なので、とにかく多くの求人情報を収集したいときに効率的です。
直接エントリーする
最後の転職方法は、M&A関連企業に直接エントリーする方法です。特にM&A仲介会社は自社サイトに採用ページを設けているところも多く、積極的に新規人材を採用しています。
例えば、M&A総合研究所では採用ページから直接エントリーを受け付けています。求める人物像や募集要項も明記されていますので、一度チェックしておくことをおすすめします。
採用サイト | M&A・事業承継ならM&A総合研究所
未経験からM&A業界への転職まとめ
M&A業界は、ハードワークや適性年齢などの問題もありますが、それに見合った報酬を狙えるというメリットもあります。
未経験の場合でも、自分が保持するスキルや経験を活用することで、M&A業界で活躍することも十分可能です。
今後も成長が期待されている業界なので、求められるスキルやポイントを押さえて、準備を進めておくとよいでしょう。
【未経験からM&A業界へ転職する際の採用ポイント】
・適性年齢
・学歴・経歴
・語学
・金融や会計の知識
・MBAやM&Aに関連する民間資格
・営業力
・ポテンシャル
【未経験でもM&A業界にマッチする人材】
・向上心がある
・責任感がある
・個人の力を試したい人
・事業承継の課題を感じている人
【未経験者がM&A業界へ転職する際の注意点】
・ハードワークであること
・インセンティブ制度
・業界経験が武器になる